35年前にタイムスリップ!

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昨夜は、渋谷のBunkamura・オーチャードホールで、”彼”のコンサートツアーの最終日を観てきました。

開演時間ギリギリに入り、座ったシートは、前から10列目のやや下手側。この席だと”彼”のサングラスの奥の表情まで見ることができそうです。
そして、周囲を見渡すと、いるわ、いるわ…数多くのオーディエンス。三階席までぎっしりでした。そして、その多くが、50~60歳位のオジサン・オバサン。からだもでっぷりとした方、髪が少ない方、白い方(自分のことですが)など、日頃ライブとはちょっと縁が薄そうな”紳士淑女”ばかりでした。

ギルドのアコースティックギターを持ってのオープニングは「Make-up Shadow」。そして次は、「東へ西へ」「飾りじゃないのよ涙は」と続きました。 まずはヒット曲、初期の代表曲、他の歌手への提供曲とそれぞれのポイントによる選曲。バックはキーボード、パーカッション、ギター、ベースの比較的シンプルな構成でした。

”彼”のMCは昔と変わらず、話す内容よりも雰囲気で魅了するようなカリスマ的なところがいまだにありました。さだまさしさんなど、トークで盛り上げるようなタイプの対極ですね。

観客の様子は…と言うと、みな静かです。おとなしく聞いています。手拍子もほとんどなく、席を立つ人もいませんでした。それは、取りも直さず”彼”の醸し出すアトモスフィアに呼応しているのでしょう。聴きに来た多くは、”彼”の初期を代表するセンチメンタルな世界に期待しているような気がしました。
”彼”はステージにアコースティックギターを三本用意して、使い分けていましたが、どの曲でもストローク(いわゆるコードをリズムで弾く奏法)で、アルペジオやスリーフィンガー(もともと”彼”にこの奏法を用いる曲は少ない)で演奏することはありませんでした。それも、時折弾くのをやめることもあるほどで、そこに”ギタリスト陽水”は存在しませんでした。まあ、もともと上手い方ではありませんからね。

安全地帯に提供した「ワインレッドの心」は静かなアコースティックバージョンでした。もちろん、ANAのTV-CMに使われている「新しいラプソディー」もグッドでした。その後、余興で「黒田節」「炭坑節」を歌うなど筑豊出身ならではの選曲もありましたが、フィナーレに近づき「限りない欲望」「氷の世界」「傘がない」など初期の曲も演奏されて、多くの方が懐かしさにどっぷり浸かったのではないでしょうか。

思えば、中学の時に友人から借りた「もどり道ライブ」のカセットテープから、私の”陽水ファン”は始まりました。伝説のライブと手垢にまみれた表現が使われるこのレコードは、当時多くの若者が持っていたと思われます。あれから35年。安いギターを弾いていた頃を、つい昨日のように思い出していました。

アンコールの一曲目は、「私もこんな年になりました」と言って始まった、今回唯一の弾き語り曲「人生が二度あれば」。まさに熱唱でした。そして、「少年時代」に続き、彼がホルダーにつけたブルースハープを吹きながら始まった「夢の中へ」では、ガマンできなくなったひとりの中年女性のスタンディングに端を発し、次々に多くの中高年たちが立ち上がり、それぞれの青春期のBGMとして流れていたこの曲を手拍子と共に歌っていました。

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コーラスもないライブ。”彼”の昔と変わらない甘く美しい声が、今回のステージにおける最高の楽器という印象を受けました。

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